着物の基礎知識
着物ライフを楽しむために
着物の種類
TPOに応じて適切な着物を選ぶことが、充実した着物ライフを楽しむコツです。
振袖
未婚女性の第一礼装。袖の長さによって種類があり、袖丈が長いほど格調高くあらたまった形式になります。
- 大振袖…
- 花嫁衣装
- 振袖…
- 花嫁のお色直し、成人式、謝恩会、新年会、結婚披露宴
- 中振袖…
- 初釜、パーティー
- 小振袖…
- 茶会、気軽なパーティー、お出かけ
留袖
黒留袖はミセス(既婚女性)の第一礼装。両胸、背、両外袖の5ヵ所に代々伝わる家紋を染め抜き、裾模様を付けた祝儀のための着物です。紋の数によって着用範囲が広がります。
色留袖は未婚者も着られる祝儀用の第一礼装です。
訪問着
訪問着は女性の礼装の着物として幅広く着用されます。未婚・既婚の区別はありません。
付け下げ
付け下げは訪問着の代わりに着ることができる社交用の着物です。訪問着より模様が少なく華やかさに欠けますが、茶着物として重宝されています。
小紋
小紋は訪問着や付け下げよりはカジュアルに装いたいときに着用できます。
例えば、初詣、同窓会、アート鑑賞、お友達との会食などにぴったりです。
色無地
色無地はさまざまなシーンで着られる着用範囲の広い着物です。紋を付けると格式が高くなり、帯によっておしゃれ着にもなる、持っておくと便利な着物です。
着物の柄
作り手の思いや願いが込められた、着物に描かれる美しい柄。そこには着物の奥深い魅力が秘められています。ここでは代表的な柄についてご紹介いたします。
具象文様
【菊】
菊は香りが良く、奈良時代に薬用として中国から伝わりました。菊を浸した水を飲むと長寿が保てるいう中国の故事に由来して、長寿の象徴する文様です。
【松】
松は常緑樹で色が変わらないこと、樹齢千年ということから古くから吉祥樹とされています。枝振りだけでなく、松の実や葉の様子がさまざまに意匠化されています。
【竹・笹(たけ・ささ)】
天に向かってまっすぐに伸びる竹は古くから神聖視される縁起の良い文様。笹は竹の類で、形が小さいものを総称します。
【梅】
梅は寒さの厳しい季節に花を咲かせます。一年を通して緑を保つ松や竹とともに中国では「歳寒の三友(さいかんのさんゆう)」と呼ばれ、日本では「松竹梅」はおめでたさを表す文様の代表となっています。
【牡丹(ぼたん)】
「百花の王」とされ、幸福、富貴、高貴、豪華さを意味します。「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と言われるように、女性の美しさを表現する柄です。
【束ね熨斗(たばねのし)】
熨斗とは、鮑(あわび)の肉を薄く剥がして引き伸ばしたものを紙の間に挟んで祝儀の進物や、引き出物に添えたのが始まりとされる吉祥文様。帯状の熨斗が数本束になったものが「束ね熨斗」です。
抽象文様
【立湧(たてわく)】
水蒸気がゆらゆらと立ち湧く様子が文様化さたもの。曲線の部分に菊や雲などを入れた「花立湧」、「雲立湧」などがあり、能装束にも取り入れられてきました。
【亀甲(きっこう)】
正六角形の亀の甲羅に似ていることから「亀甲」と呼ばれる吉祥文。もとは西アジアで起こり、中国から日本に伝わったとされています。
【雪輪(ゆきわ)】
江戸後期に雪の結晶が観察され、文様化されました。雪は豊年の兆しとされてきたため、吉祥文様として振袖のほか、留袖、小紋、帯などに幅広く描かれます。
【麻の葉(あさのは)】
六角形を基本にした幾何学文様で、麻の葉に形が似ていることから名付けられました。麻は丈夫でまっすぐ良く成長することから、子供の産着に用いられる風習がありました。
【七宝(しっぽう)】
円形は円満をあらわす吉祥文様。七宝とは仏教でいう七つの宝を意味します。同じ大きさの円の円周を4分の1ずつ重ねてつないだ文様で、円の中に花の柄を描くこともあります。