前橋小川屋社員研修レポートin上田!!【群馬県前橋市|小川屋写真館】

スタッフトーク

こんにちは!前橋市中央通りにありますスタジオ桑町 小川屋写真館の前野です。先週末から急に暑くなりましたね!
土曜日には伊勢崎市にて最高気温が40℃…。小川屋があります前橋市でも39℃を超えていたそうです。
その日は落語家の三遊亭志う歌師匠をお招きして、『きものde落語』を行いましたが、志う歌師匠も群馬の暑さに驚いておられました…。
お着物のお客様も多かったですが、酷暑の中のお着物は大変だったかと思います。しかし、落語が始まってみれば、暑さを吹き飛ばすほどの、大爆笑でした。
私も撮影の前にちょっとだけ聞いておりましたが、笑い過ぎて涙目に…。(笑)
お笑いが好きでお笑いライブにも行ったことがありますが、落語を生で聞いたのは初めてでした。プロの話芸はとにかく凄かった…。ついつい引き込まれてしまい、危うく仕事を忘れてしまいそうになりました。もっともっと聞きたかったなぁという気持ちが強く、今度寄席に遊びに行ってみようかな、と思っております!
さて、今回のブログはそんな灼熱の中行った、社員研修についてのレポートです。長野県は群馬県よりも涼しいのかと思いきや、想像以上に良いお天気だったこともありとても暑かったです。

上田紬について

今回の研修は、7月8日(金)からスタートする『小山憲市の世界 信州 上田紬展』に向けて、上田紬について学ぶために行われました!

『上田紬展』の詳細・来店予約はこちら

そもそも、私自身は恥ずかしながら今回の研修で初めて上田紬というものを知りました。
紬といえば、『大島紬』と『結城紬』が有名ですよね。実際、そのツートップで紬のシェアの半分を占めている、とも言われているほど大きな産地です。
そして、いわゆる『日本三大紬』として大島・結城の次に挙げられるのが、塩沢・牛首・そして今回ご紹介する上田です。
前述のとおり3番目は入れ替わりが激しいためか日本三大紬は結構ふわっとした概念です。『日本二大紬』じゃ語呂が悪いからなのか…そこらへんは大人の事情もありつつ。(苦笑) 産地の大小はともかくとして、各地の紬はその土地に根付いた特色がそれぞれあり、歴史と伝統を守りながら現代にも受け継がれてきた伝統工芸です。

紬って何?

そもそも、紬とは何か?といいますと、絹の真綿を手で紡いだ紬糸で織られた平織りの生地のことを言います。
主に養蚕が盛んだった地域で出た玉繭や屑繭を使って、野良着として織られていたそうで、ざっくりとした質感と丈夫さが特徴です。和装における紬の立ち位置は洋装で言えばデニム。ですので、基本的には日常着やシャレ着とされています。

上田紬の特徴

そもそも長野県には『信州紬』と言われる紬の総称があります。信州紬は各地域により呼称があり、上田紬は信州紬のひとつです。
上田紬の特徴としては、渋い光沢と格調高い染めといわれており、原料は生糸・天蚕・玉糸・真綿の手紡ぎ糸を用いて、草木を原料とした草木染めを行い、手機(てばた)と呼ばれる織機で手仕事で織ります。また、分業体制をとっておらず、染色からデザイン、織りまでのほとんどの工程を一人で行います。

上田紬の歴史

上田は1660年頃(江戸時代)に蚕種(蚕の卵)の生産が開始されました。その蚕種の副産物が紬糸の原料だった出殻繭でした。
江戸時代は天保の改革による衣服の制限が厳しい時代。庶民が絹織物を身に着けることはNGとされていましたが、紬は絹であっても生糸ではないため容認され、最高級の織物として人気を博しました。
そんな時代の流れとともに、上田紬を一躍有名にしたのが、戦国武将の真田昌幸・幸村親子。上田紬は目の細かい糸使いにより、生地が丈夫で裏地を3回取り換えられるくらい長持ちするという特徴から、「三裏縞(みうらじま)」という別称があります。そんな強靭さを真田氏と重ねて、「真田も強いが上田も強い」と人々が囃したそうです。

上田紬研修

群馬県はやや薄曇りの天気の中、車で前橋小川屋を出発! 長野県上田市までは、高速を使って約1時間半。
余裕をみて出発をしたはずが…まさかの工事&事故渋滞でなかなか群馬県を脱出できません…!!
「誰か群馬の神様に愛されているのか…?」なんて冗談を言いながら、上田市にたどり着いたのはお昼手前でした。
2時間以上かかってしまいましたが、無事に到着できたことが何よりです。
高速道路では途中霧がかかっていて雨が降りそうなお天気でしたが、長野県は雲一つない快晴。強い日差しが夏の雰囲気でした。今回研修でお邪魔したのは、小山憲市さんの工房、『まつや染織』さんです。高速の降り口からすぐの場所にあります。

① 草木染め

工房に到着してすぐ、見学したのは草木染めの工程です。今回は、長野らしく、ということで林檎を使った草木染めでした!!

染料作り

 

農家さんでチップ状にした林檎を100℃の熱湯で煮出し、濾して、また煮て…をチップの色素がなくなるまで繰り返すそうです。それだけでも大変な作業ですよね。
植物によって色素の強弱が変わるそうで、林檎はまぁまぁ強いとのこと。一番弱いのは柳だそうです。ちなみに、クルミも長野の特産物ですが、クルミは何回でも染料が取れるほど色素が強いのだそうです!

染色

 

さて、この染色液を加熱しながら糸を浸けて染めていきます。最終的な染料の温度は100℃となりますが、指先の感覚で温度が分かるそうです!
この染色に使う器具にも注意が必要です。なぜかというとこの染料は、鉄や銅などの金属に反応して色が変わってしまうのです!
元々、草木染めのような天然の染料は不安定なため、金属が含まれた水溶液で媒染することで、美しく発色させ色素を定着させます。ですので、染色中に予定とは違った色に発色してしまっては困りますので、ステンレスや琺瑯を使います。

今回使用した糸は、乾絹(かんけん)と言い、蚕が繭を作り、蛹になった状態でカラカラになるまで乾燥させて、保存に適した状態にしています。
そうすることで、安定的に糸が取れるのだそうです。この糸を一度水に浸し、馴染んだら染色液につけていきます。
染色液を加熱して温度が上がっていく間、ムラにならないように糸を回しながら上下させて浸けていきます。水分を含むと糸がかなりの重さになりますので、なかなかの重労働です。染色液もどんどん温度が上がるので、蒸気が上がり、小山さんも見学している私たちも汗だくになりました。

媒染

 

そうして10分ほど糸を染色したら、糸をしっかりと絞って、媒染を行います。
今回は、写真左から、アルミ・銅・鉄の3種類の媒染剤を使って、それぞれ媒染しました! ほんのりベージュだった糸を、それぞれの媒染溶液に入れると色が変化しました!
アルミは元の色と大きな変化はありませんが、銅は緑みがかかった色に。鉄はグレージュへと変化しました。

② 手機による織り

各地の紬は昔ながらの手作業による織りが主流ですが、上田紬も同様です。
まるで昔話で見たような織機を使って、職人さんが手で織っています。

以前、桐生の織物の博物館へ遊びに行ったときに実際に体験した織機でした。両足は足元にあるペダルを踏んでいます。ペダルを左右交互に踏むことで経糸を入れ替えていき、緯糸を通す杼(ひ)をスライドしていくのですが、杼を反対側に送るのがそもそも難しかった、という記憶があります。両手両足すべて使って織っていくので、普段使わない脳みそをフル回転していました。(笑)
そんな素人では悪戦苦闘する手機織りですが、職人さんは凄い速さで織り上げていきます。

織り上がったものは一見単色に見えますが、実際は沢山の色の糸が重なり合っています。

③ 糸へのこだわり

林檎染めの際に使用していたのは乾絹糸ですが、実際には目指すきものによって糸はそれぞれ使い分けをしています。

繭になってから約1週間で蛾が誕生してしまいますが、その1週間以内に昔ながらの製法で糸を紡ぐと、より柔らかく光沢のある糸が取れます。
小山さんが使っている乾絹糸も十分に質の良いものだそうですが、実際に触ってみると、確かに肌触りは違います。

糸にもこだわり、オリジナルの糸をオーダーして作っているという小山さん。もちろん、草木染めに使う材料にもこだわりがあります。天然由来の染料は、毎回一定に染めることが難しいため、まったく同じきものを何着も作ることができません。 小山さんの作品は、すべて一点ものなのです。

④ 小山さんの作品

研修の最後には、小山さんの作品の数々を見せていただきました。

信州の自然をモチーフにしている、という作品たちは、どれも絵画のような、はっと息をのむ美しさがあります。竹林に差し込む柔らかな光、澄み切った空気の中で瞬く星、落ち葉が躍る音や風、日差しの暖かささえも感じられるようなリアルさにとても感銘を受けました。
実際に、こうした作品に感動されたお客様から、振袖をオーダーをされたこともあるそうです。一番最初に紬は日常着とご説明しましたが、日常着のレベルを超えた、芸術作品だと感じました! 紬の振袖…いつか見てみたいですね!

社員も実際に触れたりしながら、手触りの違いを確かめていました。
上田紬は大島紬などとは違い、自由自在な糸(素材)使いが特徴。小山さんは着る人の肌触りや着心地までもイメージしながら、デザインしています。

番外編 上田観光

もちろんメインは上田紬の研修ですが、せっかくの機会、是非とも観光もしたい!…ということで、お昼ごはんに名物のくるみ蕎麦をいただき、上田城跡をぶらり散策しました!

入り口にはこんな大きな石が!真田石と名付けられたこの石は、真田信之が父の形見として動かそうとしたそうですが、まったく動かなかった、とのこと。こんなおおきな石をどうやって運んで来たのか、不思議ですよね。

真田幸村と言えば、やっぱり連想するのはこの赤い兜と六文銭ですね! 上田城の本丸は壊されてしまい、今は跡地となっているだけですが、立地や内部の構造など、戦いのために様々な知恵と工夫がなされているお城なのだと感じました。徳川家を二度も撃退したというのもうなずけますね。

ちなみに、リアル幸村さんもいらっしゃいました。(笑) 甲冑姿がめちゃくちゃカッコいいですが、とても暑ったので幸村さんの体調が心配です…。

研修でもとにかくひとつひとつをとても丁寧に説明してくださった小山さん。それは上田紬のことだけではありません! くるみそばの食べ方や、上田城のこともガイドをしてくださいました。最初から最後までニコニコ笑顔を絶やさず、気さくにお話をしてくださる小山さんに、社員一同感謝感激でした…!! 徹底したこだわりを持ち、デザインから染色~織りまですべての工程をお一人で行ってしまう超・プロフェッショナルな小山さん。とはいえ、作り手によくある厳しさは一切ありません。朗らかで暖かなお人柄や、上田という土地や自然への愛情が作品にも表れているように感じました。

いかがでしたか? 今月8日から始まる『上田紬展』では、沢山の作品が並びます。
小山さんの作品は、写真で見るよりも実際に目で見て、触っていただく方が、より素晴らしさを実感できるはずです!
今回ご紹介した、複雑に重なった糸の色合い。細やかな織目。これがすべて人の手で出来ている…という事にきっと驚かれると思います。
連日の猛暑でお出掛けするのも億劫になってしまいますが、小川屋でぜひ信州上田の爽やかな風を感じていただけたら幸いです。

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